上勝町にユコウが根付いてから、少なくとも140年以上が経過していると言われている。現在70歳の山部さんも、「私が小さい頃から家にユコウの木があった」という。
昭和56年の大寒波で生産量が激減したユコウだが、上勝町の家庭には今もユコウの木が植えられていて、その果汁は一升瓶で保存され一年じゅう日々の食卓を彩っている。
「ユコウはユズなどと違って棘がなく収穫しやすいし、傾斜地や水田の転作地など比較的適地を選ばない作りやすい果樹です。果汁も多く、酸味と糖のバランスもいい。今後は知る人ぞ知る存在であるユコウを、いかに広く普及させるかが課題です」(山部さん)